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東野圭吾『天空の蜂』

天空の蜂 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
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内容(「BOOK」データベースより)
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。


東野圭吾氏が1995年に書き下ろした、「原子力発電所」という日本が抱え続けている国家危機に対して、真正面から取り組んだ、クライシス・サスペンスです。

原子力建物をだれもが正確に「建屋」(たてや)と呼び、「マイクロシーベルト」とか「内部被ばく」、「使用済み燃料貯蔵プール」といった単語の理解が深まっている今こそ、この小説が警鐘を鳴らす問題がいかに的確であるか、ということがよくわかると思います。

17年経った今、東野圭吾が「沈黙する群衆の不気味な仮面」に向かって投じた一石が、日本国民全員に突き付けられています。
この小説を書いた東野氏が今、どういう気持ちでいるのかを聞いてみたくなりました。


文中で重工業企業に勤務する技術者である主人公たちがこのような発言をします。

「絶対に落ちない飛行機があるかい? ないよな。毎年多くの死者が出ている。それに対して、お前たちのできることは何だ? 落ちる確率を下げていくことだろう。だけどその確率をゼロにはできない。乗客はそれを承知で、その確率なら自分は大丈夫だろうと都合よく解釈して乗り込むわけだ。それと同じなんだ。」

「原発が大事故を起こしたら、関係ない人間も被害に遭う。いってみれば国民全体が原発という飛行機に乗っているようなものだ。搭乗券なんて買った覚えなんかないのにさ。だけどじつはこの飛行機を飛ばさないことだって不可能じゃないんだ。その意志さえあればな。ところがその意志が見えない。乗客たちの考えがわからないんだ。一部の反対派を除いて、ほとんどの人間は無言で座席に座っているだけだ。腰を浮かせようともしない。だから飛行機はやっぱり飛び続ける。」



この問題に対して、東野圭吾氏は決して極端な視点ではなく、極めて客観的に視座を提供してくれます。

■原子力発電所を受け入れる地元の事情。
■発電所の業務を請け負う2次請負、3次請負の実態と作業者の被ばく被害。
■原子力開発関係者に向けられる世間の視線やいやがらせ。
■非常時にも人命よりも国民の目を気にする政府。


今、まさに3.11以降に突き付けられている問題が随所にストーリーに絡んで、問題提起を重厚に描いていきます。そして、解決策の難しさも浮き彫りにしていきます。

原子力開発の是非が問われる今、是非読むべき小説だと思いました。

松崎哲也








[ 2011/04/24 23:26 ] 書評 | TB(0) | CM(0)
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松崎哲也 (love365)

Author:松崎哲也 (love365)
ベネッセで雑誌とWebのメディアマーケティングを担当する部門のブチョー。ソフトバンク・アカデミア外部1期生(現在参加中)。
「発信内容は個人の意見であり、必ずしも組織の見解と一致しているわけではありません」

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